Racco

ウィキペディアのこととか。

【WikiGap 2020 Final長文のレポート】

 

2020年6月に「9月にWikiGapの集大成的なイベントを計画します」と、ご担当のかずみアップルヤードさんからTwitterのメッセージをいただき、9/26のWikiGap 2020 Finalの具体的な計画がスタートしました。

WikiGapを大使館主催でやる場合は、次のような特徴があります。

1.女性の新規記事を作成する

2.翻訳移入でも、全くの新規記事でも構わない

 
それに加えて今回は、
3.オンラインで新規記事を募る。
4.大使館を開催場所にして限られた人数でも開催する
のハイブリッドとなりました。もし計画からしばらくたって、COVID-19の感染拡大状況が深刻になっていた場合は、オフラインのみに切り替えることを想定しながら。
 
5.大使館にお招きできる参加者は20人まで。且つ、なるべく去年来た方ではない方を優先。
6.良く書けた方には賞品を提供したい。
 
この時点でストックホルムからは「(昨年の)東京のWikiGapは成功事例なのでインタビューしたい」との申し出もあったようです。
 
・・・つまり今年のWikiGapはさらなる成功を・・・。
昨年は大使館に50人ほどが集まり、50弱の記事が作成されました。
COVID-19の状況下で、これを上回る?
 
何度か書いていますが、スウェーデンの外務省がWikiGapを提唱し、各国の大使館が呼び掛けてWikiGapは広がっています。その施策の1年間の集大成でもあるのです。
 
昨年は多くのメディアにも取り上げられ、イベントが盛り上がったという共有ができた反面、Yahooニュースのコメント欄では非常にネガティヴな感想も多く見られました。
 
それでも、本当にシンプルに「百科事典に書かれているべき女性の記事を増やす」という考えのもと、私はいろいろ考えながら良い形になるように、またたくさんの記事が書かれるようにうんうんとアタマをひねりました。
 
かずみさんからは「ロシアでの開催は半年ほどかけてのキャンペーンで、オフラインで数だけでいうと4000もの記事の応募があった」という情報をいただきました。ただし、商品は「スウェーデン旅行など」ということで・・・そりゃたくさんエントリあるよね・・・。
 
まあ、そんなことはさておき、私ひとりでできることを考えました。
 
1.Zoomを使った長時間の茶会的な記事作成相談窓口を2回やること。やらしい話ですが、Zoomの有料コースを自腹で。
2.イベント日の約1か月前から、実際に記事を書き、アップし、「もうイベントは始まってますよ」と背中を見せていくこと(最終的に今回のイベントでは5本の記事を書きました)
3.スタッフとして動いてくれる皆さんのバリバリの執筆者の方向けに、泣き言をいうこと(「成果としての記事数がさほど伸びないかもしれないなぁという懸念があります」)
4.デモンストレーション用の記事も書くこと。キャシー松井さんがもしかしたらコメントをくれるかもしれないので、当日アップするために作っておきました。
 
それに加えて、大使館での記事作成ガイド動画の撮影と、さえぼーさんによる記事作成ガイド動画、大使館で用意した記事作成ガイドキット、などのツールも用意。
 
私は大使館に「海獺はエルダーフラワージュースが好きである」と弱みを握られているので、動画撮影にも協力しました。
 
それと並行して、大使館によるWikiGap以降の、各地でのWikiGapのコーディネート的なものも徐々に始まりました。
 
というのも、詳細は省きますが、各地のWikiGapでは予定だけで開催に至らなかったものも含め「ウィキペディア側が、もしくは主催者側が、大使館に迷惑をかけちゃってる/しなくていいことをさせてしまっている」というケースが複数回あり、でしゃばることはしたくないのですが橋渡しができる立場として、双方がスムーズに気持ちよく開催してもらいたい気持ちが強いのです。
 
まあ、そんなこんなの準備と思いを乗せて、本日のイベントに至ります。
 
==反省点==
1.前日までのZoomで、なぜか入れない人がいたらしい。ごめんなさい。
2.当日のZoomのアドレスが、時間をずらしたせいで複数存在してしまい、グダグダでほとんど機能せず。
3.オンラインもオフラインも記事のアップ時間の締め切りが守れないせいで、リストを作っても作っても(リスト係の子安さんごめんなさい)、新たにエントリされてしまう。その代わり賑やか。
4.イベントの趣旨に賛同して記事を書いてくださった方と、賞品がもらえるコンペティションの対象記事は違うにも拘らず、一時ごっちゃになる。つまり、書いたけど賞品は要らないよー、とか、郵送されるのはちょっと、とかの事情もありますし、記事の出来だけでいえば編集経験が豊富な方のほうが、そりゃすごいい記事が書けるわけだし。→ベテラン編集者には賞品対象から外れてくださいとお伝えしたり。でもたくさん書いてくれた方にはかずみさんから特別賞が設定されたり。
5.タイムテーブル的に、賞品対象を決めるための会議時間の割り当てと設定でグダる。
 
==よかったこと==
1.私が勝手に決めて、勝手に役割を決めたウィキペディアに詳しい方々がものすごく頑張ってくれて、会場にいる編集者に的確なアドバイスをしていた。
2.賞品対象の記事をみんなで話し合って決める中で、なんとなく差し上げる対象の記事や条件について、考えがまとまって同じ方向を向いていたような気がした。
3.コーヒーや軽食が大変おいしい。
今回のTシャツが配られたのですけど、やはりお土産があるといいよね。
4.今日の時点で出来上がった記事数が80を超えていること。
 
オンラインで今後イベントをやる際のノウハウを少し蓄えることができました。
他方で、継続性を考えたとき「こういうやり方もあるよ」的な編集上のテクニックは、一度目は統一して、次回以降にアドバイスしていく形のほうがいいのかなとか、も考えました。
 
というのも(ウィキペディアの編集テクニックの話で恐縮ですけど)翻訳後に内部リンクをつけまくっていく作業をするときは、ビジュアルエディターのほうが早いしわかりやすいと思います。でも、機能的にできないこともあるのでソース編集のみでやってもらうこともありうる。このへんのさじ加減はオフラインで相対して、その方の理解度を見ながら丁寧にレクチャーできる時間があれば臨機応変でもいいのだけど・・・と結論出ず。
 
ふんわりしたイメージでは、オンラインを含む編集イベントをやるときは、イベント当日までに自由に下書きベースで編集してもらい、当日にはチェックとアップだけにするという方法がいいのかなと。
 
 
ほとんどの環境では、「Zoomでリアルタイムレクチャーしているときはウィキペディアの編集ができない。なぜなら画面がひとつしかないから」となるので、編集は編集、アドバイスやレクチャーは別日に設定。質問できる窓口や機会を設けるのがいいと思います。
 
これを読んでいる方にちょっとやってほしいのですけど、今日、ユミソンさんが書いた「リンダ・ノックリン」というアメリカの美術史家の方の記事があるんですけど、「リンダ・ノックリン」でちょっとググってみてください。
 
 
今日何度かいろいろな方にお話しした言葉で、このレポートを締めます。
 
「今日、あなたが作成した記事は、検索すると既にかなり上位に出てくると思います。ということはネットでその人の情報を探したいと思った人は、あなたが書いたことを読み、知識として受け入れますパレスチナの女性活動家である『Nibal Thawabteh』さんのお名前のカタカナ表記は、記事名として綴った『ニーバル・サワブテア』という表記が、今後スタンダードになる可能性がとても高いです。ウィキペディアに記事を作って、知の拡がりの一端を担うという事はとても楽しく、責任も伴うことを感じてください。もちろん編集する楽しさも味わっていただけたら

追記:キニマンス塚本ニキさんより、イベント参加者に向けてメッセージをいただきました。

学生時代からたくさんお世話になってきたWikipediaがみなさんのような人達の献身に支えられてきた事をあらためて気づき、こうやって人のつながりや学びは連鎖してゆくんだなーと感慨深く思いました。
私もラジオで学びとチェンジを広めるためにがんばります!