ウィキペディアの由比ヶ浜の記事にシロナガスクジラの画像が載ったよの巻

BGMは四人囃子の「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」でどうでしょうか?


【写真を撮っておくということ】

2018年8月5日に、神奈川県鎌倉市由比ヶ浜海岸に鯨が漂着しました。
近所に住んでいらっしゃるNさんは、打ち上げられてしまった鯨の写真を撮りに、現場に向かいました。

打ち上げられた個体は、その後の報道などによれば、当年生まれのシロナガスクジラの子供でオス。日本にシロナガスクジラが漂着した記録はなく、初めてだと思われるということです。

Nさんが撮った写真は、ウィキペディアにちょっと詳しい海生哺乳類Rさんとのメッセージのやり取りで、ウィキメディア・コモンズにアップロードされました。

それと並行してRさんは、Web上にある報道を出典として、ニュース記事が一定期間後webから消えてしまう可能性も考慮し、WaybackMachineのサイトでアーカイブして、由比ヶ浜シロナガスクジラの記事に、今回の漂着の件を加筆。
Nさんの画像がウィキペディアにめでたく載りました。
(*'-')//”パチパチ☆


【経緯裏話】

実はNさん。K県にあるK市K図書館のかたでして。
(クークラックスクランではありません)
漂着のニュースを受け、図書館でも臨時にシロナガスクジラの展示を行いました。

今回、ウィキペディアに使えそうな画像を選ぶにあたり、人の顔が映りこんでいないもののほうが良かったのですが(肖像権の問題)、クジラがわかりやすい画像をチョイスし、個人が特定されそうな個所を加工することにしました。

加工にあたっては、こんな風にするとか、こういうフリーソフトがあるとか、Rさんが紹介(GIMPとか)。
Nさんはフォトショップを使ったことがあるので「あ、GIMPもつかったことある!」とかで、加工もスムーズ。

ウィキメディア・コモンズにアップロードすることも問題なくできたのですが、カテゴリをどうするかで、ちょっと躓きました。
類似の記事や画像を参考に、カテゴリをつけました。「Dead Whales」というなんともそのままなカテゴリ。

こういう画像のコモンズのカテゴリ付けはとても難しいのですけど、さしあたって「シロナガスクジラ」と「クジラ」でコモンズの検索して、ラテン語と格闘しつつ、類似の画像傾向を探しつつ、いろいろ探っていった結果、
Category:Beached whales
Category:Balaenoptera musculus
のふたつのカテゴリをR氏は付けました。
コモンズの画像をウィキペディアに呼び出す手順も、他の記事を参考にして、めでたく。

この一連の楽しく悩んだ経験は、今後K図書館がウィキペディアイベントを開催するにあたって、役立つように思います。

「自分が撮った写真がウィキペディアに載っている」ことの誇らしさってありますよね。

f:id:RaccoWikipedia:20180812202517j:plain

File:Shironagasukuzira-Balaenoptera musculus-City kamakura.jpg - Wikimedia Commons

記事はこちら 由比ヶ浜 - Wikipedia

 

【トピックを見極める】

今回のニュースは何と言っても

  1. 現存する最大の動物種であるシロナガスクジラ
  2. (記録上)日本で初めて漂着した(と専門家が言ってるソースがある)
    ことが大きな要素となります。

注)実際には記録によると日本で4例目のようです。

海棲哺乳類ストランディングデータベース



ウィキペディアに載せる価値のあるトピックかどうかって、実はとてもデリケートで、特に地域でウィキペディアイベントをするときなどは、両方向の意味で判断が鈍る場合があります。

  • これはこの地域では誰でも知ってるくらい有名だからウィキペディアに載せる価値がある、という主観的な評価
  • これはこの地域では誰でも知ってるくらい有名だからウィキペディアにどう書いてあるかなんて気にしなかった

後者は、たびたび引き合いに出して申し訳ないのですけど信州サーモンなんかはその典型です。
海に隣接していない長野県で、いくら川を遡上するといわれているとはいってもサーモン(鮭)が??と、東京の私は素直に思うわけです。びっくりなのです。でも現状、信州サーモンについての記述は、ウィキペディアではとても寂しい状態です。

 

【地域につなげるために】

さてさて。ウィキペディア編集イベントのとっかかりとして、その地域再発見というようなキーワードが掲げられることが少なくありません。

今回のようなニュースを記録していくためにウィキペディアという場所はとても適しています。報道での写真は残るでしょうけれども、コモンズのような場所に画像を置くことで、使用される範囲が広がります。

大きな要素でないとウィキペディアには載せにくいのではないか、と一見思われるトピックが対象だとしても、客観的にもう一度見直すことで、ウィキペディアに残しておくというチョイスができるかもしれません。

地元のことを考える→ウィキペディアにはどのように書いてあるのだろう
この反復は、地域の問題を考える人たちにとって結構重要なことではないかと思います。

そこから、資料をそろえ、情報抽出する、記述するという意識に変換させていくことで、いろいろな人を巻き込んでいけるというのも、ウィキペディアという媒体の魅力だと思うのです。

とても口幅ったい言い方になりますけども、Nさんは海生哺乳類Rさんと知り合いでなければ、撮影した画像がウィキペディアに載ることはなかっただろうと言っています。

ウィキペディアに書けるよ、画像が載せられるよ、という道筋を紹介して、それはウィキペディアを閲覧する人々の知識の助けになるよ、そこからさらに知識が広がっていくよ、と、橋渡しを続けていきたい、と私は思っています。