【すごく真面目なイチローさんの話】
意図していたかどうかはわからないけども、言動が注目されマスコミに自身が発した言葉を曲解されたり切り取られて誤解を産むようになって以降、イチローさんはその受け答えで自分の意図を正確に伝えようともがいていたし、特に日本のスポーツジャーナリストに『今、この場ですべき質問とは何か』を教えようとしていたのかもしれないなと思った。
それが徒労に終わったと思ったのか、ちゃんと伝わっているか確かめたくなったのかのサインとして、数回の『何かおかしいこと言ってますか?』だったと思う。
その時だけ報道各社の反応は笑いとなって視聴者にも伝わったけれど、イチローさんの表情は諦観にも見えた。
本当かどうかはわからないが、イチローさんは本をあまり読まないと聞いたことがある。ビデオゲームもしないと。
恐らくその流れからするとコンピュータのディスプレイやスマートフォンの液晶画面を見ることも最小限に留めていたのではないかと思う。
本当かどうかわからないと書いたのは、昨夜の記者会見で、イチローさんの鼻根部分に、普段は眼鏡をかけているのではないかと思わせるような特徴的な痕がついているように見えたからだ。
言葉の選び方や、言い回しなどは、普段から言葉を意識していないと出てこないものが多々あった会見だったので、もしかすると本も読んでいるし、視力が相当落ちているのではないか、とも思えた。
新庄剛志さんも体よりも視力が落ちてきたことを引退の理由として挙げていた。
会見でこんなやり取りがあった。
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――3月終盤に引退を決めたと。技術の質問で恐縮だが、打席内での感覚の変化は今年はなにかあったか。
『いる?それ、ここで(笑)いる?』
――ぜひとも、はい。
『裏で話そう、あとで。裏で。』
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野球選手としてのクオリティを保とうとしていく上において、すごくストイックにトレーニングをしていたように見えるイチローさんが『どこから衰えていき、どのようなアジャストをしたのか』を後世に言葉で伝えてくれたとしたら、それは多くのアスリートにとって大きな財産となるだろう。
あくまで「私にとっては」だけれど、イチローさんが残すもので一番貴重な資料は「これ以上は上手くならない」という壁を受け入れて以降のココロとカラダとの向き合い方だと思う。