海獺活動
02-23 「長尾コミュニティスポットわくわく」でのWikipedia講座 初級編
02-28 松戸市立図書館での職員研修+ワークショップ
03-03 神奈川県立図書館での「ひなまつりWikipedia 女性×かながわ」
03-07 JEPA 日本電子出版協会のレファレンス委員会でのトークセッション
03-09 「2019 Art+Feminism Wikipedia Edit-a-thon」
怒涛の5連続イベントがなんとか終わりました。
今日の「Art+Feminism Wikipedia Edit-a-thon」は、通常のウィキペディア編集イベントとはちょっと異なっていて、書きたい題材を参加者自身が決め、資料も自らが用意し、事前に題材の選び方をアナウンスし、イベントでは書く上での注意点をレクチャーするというものです。
サンドボックスと呼ばれる下書きページにとにかくどんどん書いていく。体裁は後でもOK。他言語版から翻訳移入するときには注意してね。などいつもとは考え方を変えたレクチャーが必要になってきます。
神奈川県立図書館でのイベントと同様に、ウィキペディアに関するあれこれを私が説明し、ウィキペディアにおけるジェンダーバイアスなどイベントに沿った説明は武蔵大学の北村准教授が担当。
午後からのイベントですが、町歩きもなく、会場も遅くまで借りれていたので、もくもくもくもくと作業が進んでいきます。もちろんいつものように質疑応答はいつでもOKでその場で解決。何がわからないかわからないという段階から、実際に編集をしてみて湧いてきた疑問などをすぐに解決していきます。
編集経験がほとんどない人ばかりで、選んだ題材によって進捗状況はまちまちでしたが、まずは編集プロセスを体験することが大事です。今後も継続的にアフターフォローをすることで、もっともっと書き手としての経験を積んでいっていただければと思います。
ここから大事なこと
きたむ・・・さえぼーさんの説明にもあったのですが、アートもフェミニズムも、女性に関する記事もウィキペディアではとても少なく、ジャンルとしても充実しているとは言えません。
Linuxのバージョン違いの記事は何の疑問もなく当然のように特筆性があるとみなされるのに、「キャサリン・ミドルトンのウェディングドレス」の記事は、英語版ではノートページに「全く役に立たない記事」とコメントがつき、2004年から活動しているベテランユーザーにより削除依頼が提出され、少なからず削除すべき、あるいは独立記事に値しないので「ウィリアム王子とキャサリン・ミドルトンの婚礼」の記事に統合すべきという意見が付きました。
Talk:Wedding dress of Catherine Middleton - Wikipedia
Wikipedia:Articles for deletion/Wedding dress of Kate Middleton - Wikipedia
私自身も不勉強で恥ずかしい限りなのですが、このウェディングドレスは、その当時のイギリスの縫製と服飾技術などの粋を集めたもので、今後数年間のウェディングドレスの傾向に影響を与えるものであるという評価もあります。
男性編集者が多いウィキペディアでは、このトピックがどれほど重要な価値を持つのか判断することができないという例です。
そういった情報を踏まえると、アートとフェミニズムのクラスタの方々がウィキペディアに興味を持っていただき、ジャンルの充実に寄与してくださるとしたら、ウィキペディアにとって大きな財産となります。記事を書く側に立てば宝の山がまだ眠ってるということでもあります。
ウィキペディアではあるジャンルに優れた書き手が現れることで、ジャンル全体の充実が見られる傾向があります。良い例が図書館の記事です。
こういったイベントを企画し実行するということは、とてもとても高い価値があることがわかっていただけるでしょう。
成果
マヤ・アンジェロウ - Wikipedia (翻訳 加筆)
イトー・ターリ - Wikipedia (新規)
蔵真墨 - Wikipedia(新規)
レノラ・デ・バロス - Wikipedia (翻訳 新規)
ヘッダ・ガーブレル - Wikipedia (さえぼーさんによるデモ編集。翻訳 新規)
池袋モンパルナス - Wikipedia (加筆)
田中敦子 (画家) - Wikipedia (翻訳 加筆)
肋骨レコード - Wikipedia (海獺によるついで編集。翻訳 全面改稿)
という成果と、
- 甲斐美和
- サイラス・マーナー
- 女流美術家奉公隊
- ゲリラガールズ
- ニッキ・ジョヴァンニ
- ブリジット・ライリー (画家)
- ライオットガール
- 陳進
- マリエッタ・ロブスティ
などの記事がサンドボックスの中で熟成されています。
もちろん、記事をある程度のラインまで完成させることは大事です。ただ、ウィキペディアの編集はすぐに熟達するものではないので、今後ゆっくり時間をかけて下書きページで取り組んでいくこともまた楽しいプロセスだと思います。
皆様お疲れさまでした。
そんでもって
今回私が講師をやりつつ翻訳記事としてさしあたって全面改稿した「肋骨レコード」はずいぶん前からあった記事でしたが、とても短く出典もついていない状態でほったらかしの状態でした。
私はもともとこの事象を知っていたわけではなく、Facebookで
というイベントがあるとマツユリさんが教えてくださって、俄然興味を持ち、うおおおおと英語版を翻訳したものです。
展覧会が開催されたら行こうと思います。また新しい情報源で加筆ができるかもしれません。
こういう、心動かされる対象と出会って、勢いで記事を書くのもたまにはいいですよね。