薄曇りの日は百科事典向きの写真を撮るにはいいらしい。影が一方向に出てしまうことなく撮れるからだそうだ。
高尾霊園は高尾駅から15分とされているが、20分は見たほうがいいだろう。今日は原付を使った。
http://www.takaoreien.com/koujyouji/
高尾霊園の公式サイトの園内マップでは、寺山修司の墓はA区に、忌野清志郎の墓はB区にある。
言われていたように、本が載せられたデザイン。粟津潔によるもの。
青銅と思われる扉の柱には犬が左右に配置されている。
ばかばかしいと思われるかもしれないが、ひとけのない墓地の中の青銅を扉のラッチを外して中に入ると、私は深々と頭を下げて、声に出して自己紹介をした。
ウィキペディアというものをやってること、そのイベントであなたについて少し学んだこと、恐らくあなたの意志では戒名の必要はないということだったのだろうけど、それを確かめに来たこと、こんな理由で訪ねて申し訳ないという思いのこと。
先日のイベントで、寺山修司に対して特別な思い入れがあるという参加者は、ほとんどいなかった。
もちろん、寺山修司を知っている人ばかりだったが、詳しく知っているよという人も少なかった。
戯曲の代表作であり、何度も再演されている「毛皮のマリー」を見たことがある人も一人だけだった。
ウィキペディアの記事である「毛皮のマリー」のあらすじを書いた方は、物語の内容を知らないまま調べながら書いた。
こうしたことはもしかしたら冒涜であると思う人もいるかもしれない。
でも、記録していくこともまた、別の次元で大切なことだと思う。
少なくとも、自分の中にある疑問を解決するために訪れ、それを自分だけのものとせずに記しておくことは、誰かの役に立つことかもしれない。
花もなく、少し手入れから時間が経っている寺山の墓の、線香を置くスペースには、マッチの燃え殻が数本あった。